「MOROHAの歌は、聴く人の方が疲れるんです。やる方より。そんな音楽がしたかった。」
MOROHAの歌は、
「君は1人じゃない」
とか
「生きてりゃ良いことあるさ」
とか
そういう上っ面だけのような励ましの言葉はくれない。
「人間はどこまでも孤独だ」
「勝てないやつは皆消えていくんだ」
誰もが綺麗事、あるいは嘘で塗り固めて目を背けようとしている、そういうものを直視させる。
だから、聴いていて疲れる。そんなに本当のことばかり歌わないでくれ、頼むから。
そう言いたくなるほどに。
だけど、僕の人生の一番キツかったとき、苦しくて前を向けなくて、怖くて前に進めなくて、そんな自分を、MOROHAはちゃんと見ていてくれたんだ。
『四文銭』
“億千万の溜息吸い込んで
希望の言葉に変えて吐くんだ”
“億千万の涙飲み干して
決意の言葉に変えて吐くんだ”
“億千万の雨風に殴られ
億千万の花が散り それでも”
“一回きりの人生に
命を懸けて 命を描け”
当時に比べたら、僕はもうそんなにMOROHAを聴かなくなっている。
今だって大好きだし、仙台にライブしに来たらほぼ行くし、新曲が出たらすぐチェックしているし、曲を聴いて涙してしまうこともある。ファンであることは変わっていない。
あの頃の自分と一番変わったなと思うのは、MOROHAの優しい歌で泣けてしまう、ということだと思う。
『鳩尾から君へ』
『恩学』
『Apollo 11』
『遠郷タワー』
『うぬぼれ』
曲名を上げるなら、こういう曲たちになる。
今の僕は、そういった溢れんばかりの人への想いが感じられるような歌で涙してしまう。
それはきっと、今、自分を愛し始めているからで。
ずっと自分のことが嫌いだった。
弱い、ずるい、怠け者、クズ。
そんなやつを愛せるはずがない。
生きてたってしょうがない。
そう思ってた。
だから、MOROHAの歌を初めて聴いた時に、心臓を掴まれるような衝撃を受けた。
これは、僕に向かって歌われている。
そんな感覚になることはそう多くない。
この歌を武器にして戦っていけるかも知れない、なんとなくそう思った。
それから数年、MOROHAはずっと僕の側にあった。そんなMOROHAの初の日本武道館『単独』。
武道館でも、MOROHAはMOROHAで、特別なものは何もなくて、ただただMOROHAの歌を聴きたい1人1人がたくさん集まっていた。
そういう素晴らしい夜だった。
終演後、心がザワザワしてとりあえず神保町駅まで歩いた。ご飯食べるお店もほとんど閉まってて、特に行くところもないので神保町から地下鉄に乗ってこの日の宿まで移動した。
ホテルに着いて、コンビニで買ったご飯を食べようとしたらYouTubeから狐火さんの新曲の通知があった。
『MOROHAが武道館に立った日』
アンコールをしないMOROHAの代わりに、いや代わりと言っては失礼か。狐火さんがくれた祝福とアンサー。
人が人を想う気持ちは金や名誉なんかよりもずっとずっと尊い。生きてても、亡くなってても同じだ。
「MOROHAのファンは、MOROHAのファンなんじゃなくて、自分のファンになりたい人たちなんだと思う。」
武道館イチ食らったパンチライン。
MOROHA日本武道館『単独』
本当にありがとうございました。
また、どこかで。