アイドルを語ったり、映画に溺れたり。
自分語りに耽ったり。
この大変な時に、と思われているのかも知れない。
この大変な時だから、なのだ。
『この世界の片隅に』という映画があった。
劇場でもテレビ放映でも観た。
僕が思うに、あの作品は戦時中においても、いつもの日常を丁寧に生きた人の物語だと捉えている。
大切な人と、何気ないことに幸せを見つけ、自分を形作る日々の生活を織りなす。
国がどうだとか世界がどうだとか、そんなことよりも、目に見える近くの範囲を丁寧に愛する。
現実はそんな綺麗事じゃない、それもわかってる。
少なくとも、今この瞬間に上空に爆撃機がやってきて僕らを襲うだなんて現実は起こらない。
その恐怖感は想像してもきっとわからない。
世界のどこかで、今、その恐怖に怯えている人が沢山いる。それは紛れもない事実なのだろう。
戦争だけじゃない。飢餓、貧困、病気、差別、重労働…こうしてワードを書き連ねるだけで気分が重くなるようなことに苦しむ人々がいる。
だけど、自分にわからないこと、起きていないこと、起きてほしくないことを勝手にイメージして気分を下げて一体何の意味があるだろう。
イメージするなら明るい未来だろう。平和な世界だろう。たとえ絵空事と笑われようとも。
それは、『1人ひとりが、それぞれの世界の片隅で日々を丁寧に生きる』
ということが答えなんじゃないか。
美しいものに触れて、好きなものを好きだと思って、幸せを見つけていく。そんなあたたかい日々をつくっていく。
楽観主義者ではない。でも悲観して生きていたくはない。その間を、ずっと揺れ動いている。
真面目で、正義感が強い人ほど世界を変えようと頑張ってしまうのだろう。
「悪いのはあいつだ」「あいつを倒せば解決できる」、そうじゃない。攻撃したって何も救えない。憎しみが生むのは憎しみだ。
憎しみではなく愛を。
笑ってる未来を。
自分の周りから、少しだけ、愛を広げられるように。
今ある幸せに気づけるように。
だって僕たちは世界を変えることができないのだから。